2006年6月4日
不人気昆虫 シリアゲムシ
最近よく見るのがシリアゲムシ (Panorpa)。体長3cmになろうかという大きなムシです。都会ではほとんど見ることがないのではないでしょうか。長く伸びた吻(ふん)と、でっぷりとした腹部が特徴の一度見たら忘れられない奴です。よく葉の上で日向ぼっこをしているので、遭遇する頻度は高い。吻の先がどうなっているのか気になるところですね(基本的に採集はしないので細部は確認できない)。
このムシは特徴がいろいろあるのですが、まず歴史が古い、いわゆる生きている化石と云っても過言ではない。化石で出土してくるし、完全変態する昆虫の仲間では最も古い種にあたるそうです。芋虫状の体からまったく違う形に変化させるという劇的な変化をどのように試行錯誤していったのか非常に興味があるところです。
現在の生物学では小さな変化の積み重ね(遺伝子の揺らぎ)が気の遠くなるような世代を経ることによって種の分化をもたらすと考えざるを得ないという方向性なので、完全変態のような大きな変化がどの位の時間をかけて実現されたものなのか、それともなにか特別な要因があったのか、とても興味深い問題です。
数少ないシリアゲムシの幼虫の写真は、全農教の自然観察教室 室内講習会第1回報告というページにありました。
あと、交尾をするためにプレゼントで気を惹くという行動もするらしい。
というようなとても個性あるムシなのですが、なんとも人気がないことこの上ない。Wikipediaでさえ記事が載せられていない。可哀想なので項目新設しておこうかと思う。
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