2006年4月22日

神戸市立博物館:ボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展 江戸の誘惑

1991年に送られてきたパタゴニアからの葉書。大正時代の浮世絵だそうです。同じデザインのTシャツは宝物。(小圃千浦のヨセミテ国立公園の版画だと思います。)
(パタゴニアから送られてきた小圃千浦のヨセミテ国立公園の版画。展示とは関係ないのですが、画像の引用が出来ないようなので代わりに。)

 神戸市立博物館で開催中のボストン美術館所蔵 肉筆浮世絵展 江戸の誘惑を見てきました。

 予想していた以上にいい展示で、なかなか充実感がありました。一般的な浮世絵の木版画の軽い仕上がりと違い、しっかり、かっちり仕上げられた肉筆浮世絵は、とてもとても美しいものでした。

 葛飾北斎の作品で、起立した女性が足元の銅鏡に顔を映しているものがあるのですが、こんな構図よく考え付くものです。卓抜な想像力とそれを再現できる技術力、洒脱に仕上げるデザイン力、浮世絵の世界は凄いです。日本が漫画を生み出したのは必然ではないかと思います。

 展示の美しさは特筆もの。蒐集者であるウイリアム・ビゲローの保存が良かったのか、ボストン美術館の修復能力が高いのか、陳列された肉筆浮世絵の発色がとにかく綺麗です。
 着物の模様や装飾品などを見ていると、とても多様性に富んでいて、江戸時代が発想豊かな綿密な文化を築いていたことが分かります。そのような細かな意匠を見ているだけでもとても面白いですし、感心させられます。

 あと、京極夏彦を読んでる人(妖怪好き)には鳥山石燕の百鬼夜行図巻を見られるのが堪えられない嬉しさがあると思います。姑獲鳥(うぶめ)、牛鬼(ぎゅうき)あたりの石燕が描いた本物も見られたというだけで達成感があります。一目見て「おおぉ」と唸ってしまいました。

 個人的にはスマッシュヒット。浮世絵というと、爺むさい感じがしますが、いやいやどうして、浮世絵は当時の時代のもっとも活発な媒体であり、メディアの最先端を行っているものだったのですから、斬新なアイディアを生み出していった躍動感を感じることができるとおもいます。

 もう少し人が少なくて、じっくり丹念に絵を見ることができれば最高でした。

 お勧めです。

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