2006年8月8日

クロアナバチ(Sphex argentatus fumosus)

クロアナバチ(Sphex argentatus fumosus)。仕事場でクロアナバチの巣を見つけた。以前に宮崎で遭遇した個体に比べると随分と体が小さい。カメラを近づけても気にすることなく、とうとうカメラに足を掛けて登ってきたのには驚きました。

 仕事場でクロアナバチ(Sphex argentatus fumosus)の巣を見付けた。巣とは云ってもクロアナバチが棲む場所ではなく、幼虫が育つところであるが便宜上巣と呼ぼう。

 クロアナバチは悠然とした蜂で、少々カメラを近づけても動じない。それどころか、近づけたカメラをよじ登ってくる位警戒心が薄い奴だ。

巣を探すクロアナバチ(Sphex argentatus fumosus)。この後カメラに登られました。

 アナバチやカリバチは攻撃するために毒針を持っている訳ではないので掴んだりしない限りは刺すようなことはない。安心してマクロモードでカメラを1cm以内に近づけても問題ありません。

クロアナバチ(Sphex argentatus fumosus)

 昆虫を狩る蜂はファーブルを筆頭に、興味を持つ人がとても多い。物怖じしないし、大きな体をしているので観察しやすいのが要因かなと思う。

 以前に読んだ本のよると、これらの蜂や寄生蜂が如何に生態系バランスの底辺を担っているかについて興味深い話が載っていた。なんと寄生する蜂に寄生する蜂というのがいるそうで、このような多次寄生によって昆虫の発生が随分抑制されているのだそうです。

 下の写真は卵を背中に産み付けられたカマキリ。産み付けたのはたぶん蝿の仲間でしょう。

オオカマキリ(Tenodera aridifolia)の一齢幼虫。背中に付けているのはなんとなく良くないもののような気がする。

 クロアナバチのような大きな蜂なら観察しやすいですが、ヒメバチやカリバチになると、小さいし種類が多いし何がなんやら。昆虫の世界は底が知れないです。

 カメラで撮れる世界なんて、高が知れているなぁと改めて思うのでした。

5 件のコメント:

安宅正之 さんのコメント...

> 以前に読んだ本のよると...なんと寄生する蜂に寄生する蜂というのがいるそうで...

へぇ。それは面白いですねぇ。
その本が、ファーブル昆虫記のように読み易くて、手に入り易いものなら、是非読んでみたいです :)

OpenCage さんのコメント...

昆虫学五十年 : あるナチュラリストの回想 / 岩田久二雄著 という1976年に発行された中公新書ですので図書館にしかないかと思います。読みやすいかどうか分かりませんが、内容は昆虫好きや動物の生態に興味があれば面白いですよ。

でも一番面白いのは岩田久二雄神戸大学名誉教授が度々弱音を吐いているところかもしれません。

安宅正之 さんのコメント...

早速、書名を調べて下さりありがとうございます。Amazon で調べてみたら、OpenCage さんのおっしゃる通り、品切れになっていました。
ここ暫く公立図書館など通っておりません :p
Book Off などでも漁ってみます :)

匿名 さんのコメント...

「高次寄生蜂」ですね。普通は二次ぐらいですが、三次もいるようです。
http://wiki.tenteki.org/index.php?%B9%E2%BC%A1%B4%F3%C0%B8%CB%AA

既に農薬として一次寄生蜂が商品化されていますが、こいつの失敗例として二次寄生蜂が紛れ込み、アブラムシやコナジラミを抑えきれなくなることがあります。
自然の偉大さを思い知らされますな。(T-T

OpenCage さんのコメント...

クロアナバチも寄生蜂や寄生蝿を警戒してダミーの巣穴を幾つか設けるそうです。

昆虫の生存競争はシビアですね。