神戸市がユネスコのデザイン都市に認定されたという話がどうも納得しがたいのでちょっと調べてみた。というのも、昔はモダンボーイ・モダンガール(いわゆるモボ・モガ)の町であった神戸であるが、高度経済成長の時代以降は文化や芸術を軽視しつづけている。それを証拠に神戸には未だに本格的な画材専門店がないのだ。なおかつ、神戸の玄関口である三宮駅の南側にはパチンコ屋が軒を並べ、北側には5時以降にならないと活気付かない飲み屋街ばかりなのだ。デザイン都市といわれても、「えっ、何処が!?」というのが正直なところだ。
ユネスコのサイトで、神戸のデザイン都市に関する記事を2つ見つけた。
・Nagoya and Kobe, named UNESCO Cities of Design
・The Creative Cities Network: Cities Appointed to the Network
1件目は、読んで字のごとく、ユネスコデザイン都市と命名された(呼んでも構わない)であり、2件目は、クリエイティブシティネットワークに appointされた都市である。appoint は、to choose someone officially for a job or responsibility (cf. http://dictionary.cambridge.org/) なので、意味としては、ネットワークに加入が認められた都市みたいなニュアンスだ。
ちなみに、その理由としては、
The panel further recognized that "Kobe is an emerging centre of excellence for design with a strong interest in design-led urban development." It noted in particular "the city’s vision embracing design as a strategic tool for urban regeneration, as shown in the recovery projects developed after the Hanshin-Awaji Earthquake of 1995."
とあり、地震をまだ引きずっていることに少々驚いた。では、ユネスコのクリエイティブシティネットワークとはナンなのかというと、デザインを通じで経済発展したい都市の集まりで、相互に情報を提供しあうことが必要なのだそうだ。
Cities have the responsibility to demonstrate the willingness to operate internationally and to participate in the transfer/exchange of knowledge and information with other members of the network. Cities have to inform UNESCO on an annual basis of the progress made in the implementation of policies and activities, both locally and internationally and in cooperation with other cities.
要は神戸市は他国の都市と情報提供・情報交換をするに値する価値があることから加入を認められたというニュアンスが正しいのではないだろうか。とすると、ユネスコによって「デザイン都市に認定された」というのはちょっとミスリードなんじゃないかな。
まぁ、ビエンナーレをデザイン都市関連の事業にするあたり、デザインとアートの区別ができていない訳で、下手をすると馬脚を現すなんてことになりかねないのが個人的には不安だな。それこそ、これまでの箱物行政から見方を変えただけなんて言われかねないように、美術芸術・文化に関する造詣を深めてもらいたいところだ。
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