2005年9月1日
面白かった本「アラブの人びと ークウェートに住んだ体験からー」
「アラブの人びと ークウェートに住んだ体験からー」サイマル出版会発行(1991年2月) 前川雅子著 ISBN4-377-40879-8 定価1400円
アジアの食べ物関係の本を読んでいる延長線上で,ちょっとアラブ関係のことが気になっていたのですが,図書館でふと目に止まったので借りてみました。
実際にクウェートに住み,勇猛果敢というか,積極的に人々と交流していく筆者の前川雅子さんは凄いバイタリティの持ち主だと思います。変わった体験の話だけではなく,もっと踏み込んでイスラム世界の女性の世界を冷静に書き綴っているところが凄いです。多分,日記を書く習慣のある人なんだろうなぁと勝手に想像してます。
読んでみて,目から鱗が落ちたのがイスラム社会における女性の立場です。イスラム社会では4人の女性を妻とすることが可能です。しかし,これは経済的に不利な立場にある女性を救済するための制度なのだそうです。
イスラムでは,結婚する際に契約書を取り交わし,その中で女性は自分の意見(条件)を書き込むことができ,これの条件を男性は守らなければ結婚できません。条件は何を書いてもよくて,「いやになったら離婚する」とか,「一人で出かけてもいい日を週に2日以上設けること」,また経済的な条件など何でも書いてよいらしい。
しかも,契約書は3通作られ,2通はそれぞれ両者に,あとの1通は裁判所に預けられ,女性は契約の不履行を裁判所に訴えることで離婚をすることができるという。
結婚時に男性は女性に対し結納金ともいえる多額のお金を持参金として渡さなければなりません。しかも,それを男性が断ることはできない(経済的に女性を支えるのが男性の役目でそれが出来ないのであれば結婚する資格がないと解されるとのこと)し,前金と後金に分けて受け取ることが出来るし,男性から離婚を求められた場合は後金を受け取る権利を持っている。
このようなお金は女性の確固たる財産であり,当然の権利として確立されている。夫が無くなった場合の相続はそれ以降の人生の長さを考慮して妻よりも子供の取り分の方が多くなっている。妻は相続が少ない代わりに持参金を多めに貰っておくということになっているとのこと。
なので,権威という華は男に持たせてあるが,実は女性の方がその根っこをしっかりと掴んでいて男をコントロールしているような社会なんだとか。
アラブというと,ちょっと構えてしまって固い文章が多いと思うんですが,著者の前川さんはそのあたりをサラリと会話として紡いでいっているところは凄いなぁと感心してしまいます。
この本のお陰でアラブのことがより身近なものに思えてきました。他にも女性だけの結婚式の披露宴の様子とか,日中摂氏50度にもなるクウェートでの生活とか,なかなか突飛な話が一杯でした。面白いです。
なお,この本を出版した(株)サイマル出版会という会社は倒産してしまったため,この本は図書館で借りたり,古本屋で見つける以外に読めないようです。
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