2018年6月14日
海上都市は盲腸
かつて住んでいた六甲アイランドがなかなか厳しい状況にある。元々3店舗あったスーパーマーケットはもうすぐ1件のみになる。最初に撤退したコープこうべは一度も黒字化したことが無かったという、今回閉店することになったパントリーはビル管理会社の管理費未払いでエレベーターが止まり客に迷惑が掛かるからだとかだとか、、、。
六甲アイランドは神戸市が海を埋め立てて造った海上都市で、土壌は神戸の山地の開発によって発生した残土を持ってくることで調達した。合理的な様だが山と海の自然環境に大きなインパクトを与えていることを考えられなかった時代の産物だ。今は瀬戸内海環境保全特別措置法によって埋め立ては厳しく抑制されているそうだ。
六甲アイランドは人工の空間なので都市計画の実験的な配置となっている。中心部に商業施設が集中し、住宅地、工場地帯が取り囲み一番外周が港湾施設となっている。中心部に軌道敷が一本ピストン運送的に設置され、駅を中心に人の動きがある。歩く距離も大して長くなく物理的には合理的だったと思う。
誤算というか阻害因子は軌道敷の六甲ライナーが片道250円することだ。往復500円。住む分には通勤定期もあり通勤時間が伸びることが問題になるがそれは納得済みだ。でもやってくる人は違う。本土に比べて500円と40分を負担する理由が必要だ。車と違って人数分金がかかるので人を誘いにくい。商業的な魅力があれば行ってみようかとなるがそれだけの金額を出すなら大阪まで行った方が溢れるぐらいいろんなものがある。
人が集まらなきゃ店は来ない。土日だけ人が増えても平日は島内住民の内需頼み。単価は上がれば六甲ライナーへの乗換前に本土側のスーパーで買い物される。どこをどう切り取っても負のスパイラル状態。生活空間としては盛り返しようがないのではなかろうか。
たとえ六甲ライナーが100円になったとしても、駐車場代が掛からなくなったとしても、わざわざ頻繁に訪問してくれるようになることはないだろう。通過地点にならないビハインドはめちゃくちゃ大きいのだ。
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